庭園の冬の風物詩といえば、雪吊りとこも巻き。
主に松の木を守るための昔ながらの方法です。英語で説明してみましょう。
雪吊りは何のためにあるの?
ツリーじゃなくて「吊り」なの。直訳すると”Snow suspension”ね。見かけから”rope umbrella(縄の傘)”と表現したりもします。
では、なぜ(Why)、どうやって(How)を見ていきます。
Yukitsuri is a measure to protect mainly pine trees from heavy snow.
雪吊りは主に松の木を重たい雪から守るための手段です。
A main pole is set up (erected) next to the trunk and ropes are hung radically from the top of the pole to the branches.
中心になる支柱を幹の隣に立てて、縄を放射線状に支柱の上から枝にかけて吊します。
In areas that have lots of heavy and wet snow, this measure is really needed to support tree branches.
重く湿った雪がたくさん降る地域では、この手段は木の枝を支えるために、本当に必要とされています。
雪吊りの景色で有名なのは、三大庭園のひとつ、兼六園よね。
The most famous place for yukitsuri is Kenrokuen, a beautiful landscape garden in Kanazawa-city.
雪吊りが最も有名な場所は兼六園、金沢市にある美しい風景式庭園です。
In Kenrokuen, this work starts from the Karasaki-pine, the biggest pine tree in this garden, on November 1.
兼六園では、この作業は、11月1日に一番枝ぶりのいい唐崎松から始まります。
For Karasakimatsu, five poles are set up and 800 ropes are hung and tied to the branches.
唐崎松には、5つの支柱がたてられ、800本の縄が吊るされ枝にくくられます。
唐崎松は9mの高さがあるのよ。芯柱はそれより高く、園庭さんがよじ登っていくの。梯子がないから、腕と足の力だけで登るの。
説明するときに、作業風景の写真や動画を見せるのもいいですね。
上で紹介した手法はリンゴ吊りと言い、リンゴの実の重さから枝を守るための手法です。
ほかにもあります。
- 幹吊り(樹木の幹から枝に縄を張る)
- 竹又吊り(竹を立てて縄を張る)
- しぼり(低木の枝を全て上に集め、縄で結ぶ)など
近頃は金沢市の降雪日数、積雪量ともに減少しているため、雪化粧した兼六園を見られる日数も減ってきています。
3年前大雪が降った翌日に兼六園を訪れたところ、園内のボランティアガイドさんに貴重な日だと言われました。
雪が積もるような予報が出たときは是非足を運びたいですね。
外国人が必ず質問する「こも巻き」は、逆質問してみよう。
江戸時代から続くこも巻きは、雪吊りと並んで冬の風物詩です。
ケロジもいつもしているわよね。腹巻(belly belt)はおなかを冷やさないためだけど、こも巻きは違う理由があるのよ。
こも巻きを見ると、外国人観光客は必ずといっていいほど質問します。
他の説明をしていても、「あれは何だ?」「なんでベルトをしているんだ?」と質問攻めにあいます。
「そんなに知りたいなら、すぐにお答えしましょう!」とは言わず、私はいつも逆に質問をします。
ここで質問するときのポイントです。
「あれは何だと思いますか?」とは質問しません。
なぜなら、分からないから向こうは聞いているわけなので、
I have no idea. I want to know that.と返されてしまい、盛り上がらないのです。
そうならないために、ヒントを出して質問します。
The mats protect trees from something! What do you think it is?
マットは何かから木を守っているんだけど、何から守っていると思う?
すると色々な答えが出てきますよ。
寒さ(coldness)、鳥(birds), 傷(hurt)、大気汚染(air pollution)、いたずら(prank)など。
観光客に質問して答えを当ててもらうときは、このようにヒントを出すと答えやすくていいですよ。
では、こも巻きの本題に。
You can see trees wrapped with rice straw mats.
こも(藁で編んだむしろ)でくるまれた木の幹があります。
It’s a traditional way of protecting trees from pine pests called matsugareha.
マツガレハという害虫から木々を守るための伝統的な方法です。
※正確にはマツガレハの幼虫です。
どうやって(How?)
In winter, pine pests move under the rice straw mats to pass the winter.
冬に松の害虫は越冬するため、こもの下に移動します。
In early spring, those mats are removed and burned… with the pests.
春のはじめになると、こもを取り外し、燃やします…害虫と一緒に。
chemical pesticide(化学的な殺虫剤)を使わないeco-friendly pest-control method(環境に優しい害虫防除法)であるため大変感心されるのですが、2002年~2007年に姫路城で行われた実験では効果があまりないという結果が出ているようですね…
One research shows that the straw mats catch more natural enemies of pine pests than pine pests themselves.
ある調査では、こもは松の害虫よりも益虫をとらえてしまっているという結果があります。
But Komomaki are still applied to create a winter feel.
しかし、こも巻きは冬らしさを演出するために今も行われています。
姫路城での調査結果では効果がほとんどないと出ましたが、300年以上も松を守ってきたわけですよね。何かしらの効果はあったのでは、と思うのですが、どうなんでしょう。
何はともあれ、雪吊りもこも巻きも、花の少ない冬の庭園に風情を与えてくれます!